田中忠三郎コレクションの腰機について
元青森県文化財
2021年2月 文化財指定を外す
田中忠三郎氏は生前 コレクションを郊外の倉庫に分類をして保管していたが、晩年、その倉庫が雪で潰れてしまったので、青森市の廃校になった幼稚園を借り受け、保管場所を移した。
雪での損傷は大きく、機や機料など、散逸してしまったものも多い。 2020年 保管場所の幼稚園の売却、取り壊しが決まったので、青森市から保管品の移設を求められた。しかし青森県の文化財も多く含まれるのにも関わらず、青森県には保管場所が無く、これらのコレクション、文化財は廃棄処分になる恐れがあった。そこで 自然布研究家の安間信裕氏が織り機の引受を申し出、遺族との話しあいで、約100台の内、腰機約70台 その他機料などを移設した。
移設に前もって 古代織連絡会事務局長の村井龍彦が織り機、機料の調査を行い、トリアージを施して、今後使えるものを選定したことを付け加える。
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東北地方の機
織り機の種類 (機台の違い)
腰機の糸の開口機構、織り機構については 大きな違いはないが、フレームの形におよそ4種類ある。
1.地機
フレームが床面にくっついているタイプの機。床に座って織る。まさにいざり機である。
2.フレーム型
地機をフレームを作って床から上げたもの。
上げることによって、腰掛けるように織る機 便宜上フレーム型と名付けた
3.足付き型
地機に4本の足を付けてフレームを上げているもの。おそらく最初は土間で使用されたと思われる。安定性を高めるため垂直な足でなく、前後に踏ん張った形の斜めの足もある。
4.箱型
フレームの代わりに箱を作ってその上に織り仕掛けを載せたもの。
板で四方を囲んだモノコックのものと フレームの内側に板を貼り付けた
フレーム型がある。
寒い青森で火鉢を中に入れて織ったか、布団などを入れて織ったのだろうか?
糸巻き(千巻)の種類
糸巻きは結城などで見られるH型の板状のものと 丸棒に十文字を左右に付けた十文字型がある。 途中でH型から十文字型に改良したものもあるので、はじめにH型、その後十文字型に発達したのではないかと思われる。
十文字型のメリットは
①360°の中に90°ごとにストッパーを懸けることができ、H型が180°間隔に比べ、より細かい糸出しができる
②糸巻き部分が円もしくは八角形なので、経糸の折れがH型に比べ少ないのでH型に比べ経糸に負担がかかりにくい。H型は90°経糸が曲がることになる。
③H型に比べ十文字型は比較的軽いので経て巻する時、負担が軽い可能性がある。
④千巻が軽いので機全体の重量も軽減できる。
十文字型のデメリットとしては
①制作するときに丸棒加工、十文字加工、刻みの必要など、より複雑な細工が必要
②H型には必要ないストッパーが必要
③各々の腰機のフレーム幅はまちまちなので、他の機との互換性は少ない。H型は多少のフレーム幅の違いはクリアーする。
などが考えられる。なぜ十文字型にしたのか?当然高機の影響があったことは間違いないであろう。ただ、高機の千巻と同じ形態ではあるが、幅などの違いから、千巻が高機との互換性は少ないと思われる。
元青森県指定文化財 機台腰機
腰機1
フレームが破損 廃棄処分
腰機2
腰機3
腰機4
腰機5
譲渡済
腰機6
腰機7
腰機8
腰機9
腰機10
腰機11
腰機12
腰機13
腰機14
腰機15
腰機16
腰機17
腰機18
腰機19
腰機20
腰機21
腰機22
腰機23
腰機24
腰機25
譲渡済
腰機26
腰機27
腰機28
譲渡済
腰機29
腰機30
腰機31
腰機32
フレームが破損 廃棄処分
腰機33
譲渡済
腰機34
腰機35
腰機36
腰機37
フレーム破損 廃棄処分
腰機38
腰機39
腰機40
腰機41
フレーム 破損廃棄処分
腰機42
腰機43
腰機44
腰機45
腰機46
腰機47
腰機48